2022年にJoi Itoこと伊藤穰一によって設立されたDALは、様々なバックグラウンドと脱専門性を持つ「デザイナー」や「実行者(doers)」たちで構成されています。私たちのミッションは、プロソーシャルな未来のための新しい「デジタル感性」をデザインすること、そして新しいアーキテクチャ様式を通してその感性を技術、規範、法、ビジネスなどの分野に渡って表現することにあります。 私たちDALは既存の垣根を超え、公共機関、民間セクターやアカデミア、市民社会などと連携していきます。
しかし、なぜアーキテクチャなのか?それは、私たちが直面する問題の多くが、複数の分野を横断して考える脱専門的(anti-disciplinary)な解決方法を必要としているからに他なりません。つまり、工学やデザイン、芸術、そして科学を統合し、これまでのやり方から一歩踏み出すアーキテクチャが求められているのです。既存の構造を単に「デジタル化」させるだけでなく、新たな手法を用いて進化させることが不可欠となっています。
例えば、非中央集権化されたブロックチェーンと暗号化技術、各種セキュリティ関連の要件がある世界で、身元情報(identity)はどのように認識され、使用されるべきでしょうか?ChatGPTの時代に、教育はどのような姿になるのでしょうか?かつて、バウハウス運動はコンクリートや鉄筋、ガラスなどの新素材を導入し、高層ビルや空港を生み出し、当時を代表する新しい感性を生み出しました。同様に、ウェブやブロックチェーン、人工知能などの「デジタル素材」が揃った今、何を作ることができるのか、何を作るべきなのかを改めて考え直すことで、新しい時代にふさわしい美的、社会的なパラダイムシフトを提示する必要があります。
デジタル・アーキテクチャが目指す境地は、「新しい感性」を生み出すことにあります。現代における課題や新しく登場したデジタル素材にふさわしい技術、規範、法、事業などを模索し構築することで、これらの感性は生み出されていきます。新しい感性を支える価値は、包容力、持続性と多様性です。これらの思いは DALのロゴデザインにも反映されています。
世界的なデザイン事務所であるPentagramのGiorgia Lupi氏が率いるチームとともに、DALの理念を体現したデザインを制作しました。
ロゴは25個のSoft pixel(四角形)で構成されており、Soft pixelの凹凸のカーブは暖かさ、親しみやすさ、ヒューマニズムといった感情を体現しています。一体感のあるグラデーションを作りながらも、個別の色合いを持たせることや、同じ形でも別々の動きをさせることで、1つのアーキテクチャーを作り上げるとともに、それぞれの個性を現しています。
すべての人のための包摂性、分散化、持続可能性、多様性という価値に導かれ、DALはグローバルな視野を持つ社会に新しいデジタル感性による新しいアーキテクチャを提案します。
デジタルガレージのエコシステムの一部であるDALは、未来へのビジョンを実現するために専門家と開発者たちのネットワークを構築しています。DALが提供するブログ記事がみなさんの議論を促進し、そこから生まれるアイディアに共に探求する人々のコミュニティを形成するためのプラットフォームとなることを願っています。みなさんも議論を共に作っていきましょう!